2024年度東京都の教員採用試験が実施され、小学校の受験倍率が1.1倍となった。これについて考察したい。
教東京都の教員採用、小学校で過去最低1.1倍 質の低下いっそう懸念:朝日新聞DIGITAL
—トピック—
- 東京都教育委員会が実施した2024年度の教員採用選考について、小学校の受験倍率が1・1倍だった
- 受験者数は10年前より半減
- 教員免許なしで受験できる社会人選考は、「40歳以上」だった応募年齢が今回から「25歳以上」に引き下げられ、前年の15人を大幅に上回る149人が受験
- 都教委担当者は「免許なしで合格した方に、確実に免許取得をしてもらえるよう働きかけるなど、合格者に確実に教壇に立ってもらえるようアプローチを続けていきたい」
東京都教育委員会が実施した2024年度の教員採用選考について、小学校の受験倍率が1・1倍だったことが分かった。都教委が29日、発表した。小中高、特別支援学校を合わせた全体の倍率も1・6倍で、初めて2倍を切った。いずれも過去最低だった前年を下回り、教員の質の低下や人手不足がいっそう懸念される事態となっている。
首都東京の受験倍率が1.1倍というのは衝撃的で、ついに来るところまで来てしまった感がある。他県や民間企業との併願、また、受験倍率に限らず、絶対に採用できない人物も受験者の中にいることを考えると、実質的に1倍を切っているのではないかと思われる。
もはや質の低下を憂慮する事態ではなくなっており、次年度以降、数を揃えることすらも不可能になってくるのではと予想される。
特に深刻なのが小学校で、2280人が受験し、2009人が合格した。受験者数は10年前より半減したが、1学級の児童数を減らす「35人学級」の導入などで採用数を増やす必要があり、合格者数は約1・6倍に増えた。
35人学級の導入が合格者を増やし、それが結果的に受験倍率を押し下げている要因の一つであると理解できる。しかし、深刻な問題は、受験者数が10年間で半減しているということである。受験者数が右肩下がりに減ってきており、次年度以降も増えることは考えられないし、横ばいに転じるとも思えない。この現象の原因のほぼ全てが教師の労働環境にあると思う。
新たな人材の掘り起こしをめざした選考制度の結果も公表された。教員免許なしで受験できる社会人選考は、「40歳以上」だった応募年齢が今回から「25歳以上」に引き下げられ、前年の15人を大幅に上回る149人が受験。88人が合格した。
応募年齢の引き下げは、大いに効果があったのだろう。そもそも、40歳以上の他職就業者は、責任ある役職の人物も多く、一念発起して教師になろうとする方は少ないと思う。将来性のある若手が教師に多く採用されることは、現役教師としてもうれしい限りである。
都教委は新たな取り組みとして、「ペーパーティーチャー」向け研修などを予定する。担当者は「免許なしで合格した方に、確実に免許取得をしてもらえるよう働きかけるなど、合格者に確実に教壇に立ってもらえるようアプローチを続けていきたい」と話す。
衝撃的なこととして、免許なしでも合格できるということである。教員免許を取得予定の現役大学生であるなら、免許がないとことも理解できるが、都教委担当者の発言は、言葉を換えれば「もはや誰でもいい」とも読み取れる発言である。それにしても「教員免許更新制度」は一体何だったのか、制度立案者に話を聞いてみたいと思う。
先日、盛山文科大臣が教員不足を解消させるには、どうすればよいかと記者に尋ねられて、「妙案はない」と公の場で発言していた。なんとも頼りないと思うと同時に、正直な人だとも思ったが、この惨状を改善させるには、教師の労働環境の改善、以外にはない。人を増やすなど、予算がかかることは財務省との困難な折衝があり、一筋縄でいかないのは間違いないが、仕事を減らすことは、文科省の専決事項であり、できないことではない。具体的には、授業時数の削減に始まり、小中連携教育、キャリアパスポート等の現場の教師から実施の有効性について著しく疑義を呈せられるような、教育施策の撤廃。そして、部活動や登下校の指導など、現場を著しく多忙にさせる他国では、教師が担わない業務の完全撤廃を文科省が責任を持って主導しなければならない。


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