茨城県守谷市で取り組まれている教師の多忙化解消の為の取り組みを紹介すると共に、現場で日々奮闘する教師として記事を考察したい。
茨城県守谷市「週3日5時間授業」で教員の負担を軽減 「子どもと話す時間が増えた」効果を実感する声が多数:AERA dot. 2023/8/17
—トピック—
- 前期・後期制、終業式の授業、夏休みの短縮
- 中学校では、5時間の日に部活をし、6時間目からスタート
- 市独自の予算で教科担任制
- 市独自の取り組みに頼るのではなく、国が定める標準授業時数を削減しなければ根本的解決にはならない
守谷市型カリキュラムマネジメント

一般的に公立の学校では小学4年生以上になると、月曜日から金曜日まで6時間授業が行われている。しかし、守谷市では2019年度から、市内にある全ての公立の小・中学校(13校)で、週3日の5時間制を導入している。例えば、小学校では「週3日5時間制」を実施することで放課後の時間が従前と比べて、週あたり2時間15分増加する計算となる。その時間を授業準備や研修にあてることで教育の質を向上させるとともに、早めに退勤できる環境を整えようというわけだ。
必要な授業時間数は、前・後期制の導入や夏休み期間の短縮、県民の日や終業式の日に授業を行うなど、年間カリキュラムの調整で確保している。
各自治体、各学校において弾力的なカリキュラムを実施、限られたリソースを有効に活用しようとする取り組みは、大変素晴らしいと感じる。週あたり2時間15分、1日あたり約30分の時間を捻出するのも大変なことだと思う。
その取り組みの具体的方策として、「前・後期制の導入や夏休み期間の短縮、県民の日や終業式の日に授業を行う」と言うことであるが、夏休み期間の短縮以外については、だいたいどこの学校でも取り組まれていることではないかと思われる。夏休みの短縮については、令和5年度は4日ほど、8月いっぱい夏休みを設定している学校より短くなっている。おそらく、4日から5日での授業時数は最大30時間であり、5時間授業を実施するとなると25時間程度の授業時数の確保になるかと思われる。
教師の心情としては、夏休み期間を削っての授業時数の確保は、あまり気持ちのよいものではないであろう。夏休みの前半は、各種研修や保護者との面談、帳簿類の整理、2学期の授業準備や施設設備の点検など、普段できない仕事を行っており、お盆過ぎの2週間が教師にとって心身をリフレッシュさせられる唯一の期間であるからだ。(寒冷地ではもっと夏休みが短い学校もある)
部活動は主に5時間授業の日に実施。6時間目の時間帯に活動をスタートし、終了時刻を早めることで週あたり3時間の放課後時間を生みだしている。
この改革で、5年前は1カ月平均61時間だった小学校教諭の時間外勤務が今年度同月では33時間となった。中学校教諭の時間外勤務は2年前の月79時間から53時間となっている。
中学校は、主に5時間授業の日に部活動を行っていると言うが、6時間授業の日には、部活動を行っているのかどうかが、気になるところではある。この類いの話になると保護者からの圧力があると思うが、教育委員会が盾となり、学校や教師を守って欲しいと思う。また、時間外勤務の算定が早朝出勤や休日出勤、家で行う仕事が含まれているのかどうかも気になるところだ。いずれにしても他自治体よりは、遙かに少ないが、特定の勤務条件以外、本来はないとされている時間外勤務が月に小学校33時間、中学校53時間もあることは問題であろう。
現在、5、6年生の理科、音楽、図工の授業で実施し、市の独自の予算で常勤、非常勤合わせて15人の専門教員を雇用している。さらに、松前台小では高学年の学級担任が3、4年生のクラスで書写と外国語の授業を担当する。高学年での「教科担任制」で生み出した週7時間を中学年の担任の授業時数削減につなげているのだ。
市の予算で15人の専門教員を雇用していることは、大変素晴らしい試みである。この15人がどれくらいの稼働率で、実際に5,6年の担任の週の担当時数が何時間なのか具体的な数値が知りたいと感じた。ちなみに筆者は、高学年担任であるが、本年度は週に27時間を担当している。
教科担任制を実施している学校は、殆どが担任間で教科担当の付け替えをしているだけであって、教材研究や準備の時間が多少減ると言っても、担当時数そのものの削減にはなっておらず、根源的な問題解決にはなっていない。
教育政策が専門の東京学芸大学の大森直樹教授は、「週3日5時間授業」は成功事例であると同時に、教育現場の根源的な問題を示唆している、と語る。 「教職員の勤務負担だけでなく児童生徒の学習負担にも配慮した点で、守谷市の取り組みはすばらしいと思います。ただし、大切な休養期間である夏休みを短縮していることは、少し心配です」
大森さんによると、学校の休暇期間には、長年にわたる学校現場の知見に基づいた合理性があるという。それを分かっていながらも夏休みを短縮しなければならなかった背景には授業時間数の問題がある、と指摘。日本には国が定めた「標準授業時数」に基づき、各学校が時間割を組むという仕組みがある。小学校高学年では外国語の活動や教科化により、02年に945時間だった年間の授業時数は、11年に980時間、20年に1015時間に。現在は20年前と比べて70時間増えている。 「学校の多忙化の抜本的な解決には国が標準授業時数を見直すしかありません」(大森さん)
上記、識者のご意見の通りである。時間的リソースが限られているのだから、結局は、夏休みを短縮したり、終業式に授業をやったり、カリキュラムを工夫しなければ標準授業時数をこなすことはできない。そんなことをせずとも標準時数を減らせば、教師にも児童生徒にも時間的にも精神的にもゆとりがうまれるであろう。
「授業時数を増やす=学力が向上する」と言う安易な思考はやめて、限られた時間内で最大限のパフォーマンスを目指すべきである。そのためには、優先順位を決めて、その下位にあるものについては、やめる勇気を持つべきである。


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