文科省で以前から推進していた小学校高学年の教科担任制について考察したい。
「教科担任制」推進へ、小学校教員の増員前倒し…来年度1900人:読売新聞 オンライン
—トピック—
- 1年に950人ずつ、4カ年で合計3800人の教科担任を計画していたが、次年度は950人を増員し、年間の教科担任を1900人として、一年前倒しで計画を完了させる
- 5、6年生の英語、理科、算数、体育の4教科を中心に導入している
- 計算上、週3・5コマを教科担任が教えることで、クラス担任の授業数が21コマ程度に減る
- 文科省は教科担任制を推進することが教員のなり手不足解消にもつながると期待する
従来とこれからのイメージ図

2022年度から4年かけて毎年度950人ずつ増やす予定だったが、来年度に2年分増員して計画を1年前倒しする。教員の長時間労働を是正し、働き方改革を加速させる狙いがある。
4カ年計画を一年前倒しで完了させる試みは、文科省も誠意を見せてくれていると感じる。教育関係の制度改正については、労働環境を悪化させることに関しては、迅速だが、逆の場合は、非常に遅い印象を今までもっていた。計画完了を1年早めることに関しては、評価に値すると思う。
小学校高学年の教科担任制は、22年度から本格的に始まった。ほぼ全ての教科をクラス担任が教える「学級担任制」に対し、教科ごとに専門の教員が教える制度で、5、6年生の英語、理科、算数、体育の4教科を中心に導入されている。
筆者の経験している教科担任制は、教科の付け替えであって、結局持ち時数は変わらず、負担軽減になっていない。高学年は、それぞれ週に英語が2時間、理科が3時間、算数が5時間、体育が3時間程度実施されていると考えられる。教科によって、週の実施時数が違うので、時間の調整が難しいのではないかと思われ、特に算数は、5時間全て教科担任に預けることができるのかどうか、疑問が残るところである。
公立の小学校教員を巡っては、担当する授業数が週あたり平均24・6コマと、中学校教員よりも6・6コマ多く、負担の重さが指摘されている。同省は、来年度に全国で計3800人の増員が実現すれば、計算上、週3・5コマを教科担任が教えることになり、クラス担任の授業数が21コマ程度に減ると見込んでいる。
公立小学校教員の週の担当授業数が平均24.6コマということであるが、高学年担任でこの数字は、少ないと感じる。高学年は、週に29時間が一般的な週の時数である。現状で週に約4.5の空きコマがあるのだろうかという疑問が残る。筆者は27時間の持ちコマである。筆者の持ち時数と平均すると高学年担任で、23コマの担任が存在することになるが、筆者は見たことがない。
また、3800人の増員が完了すると週に3.5コマ減らせると見込んでいるようだが、どのような計算をすると3.5コマ減らせるのか疑問が残る。筆者の概算では、全国で約2万校の公立小学校があり、1校の1学年あたりのクラス数を2と見積もると2学年あるので、1校あたりの高学年のクラス数は4になる。
20000校×4クラス×3.5コマ÷3800人=73.68コマ
であり、教科担任は、週に73.68コマ担当することになる。現実離れしている数字であり、文科省の3.5コマがどういった算定根拠なのか知りたいところである。
クラス担任が増えた空き時間を授業準備などに充てられれば長時間労働も改善できるため、同省は、教科担任制を推進することが教員のなり手不足解消にもつながると期待している。
本取り組みが長時間労働の抜本的な解決策にはならないが、やらないよりやった方がよいと思う。詳細は、記事からは読み取れないが、教科担任の雇用形態がどのようなものなのかが気になるところだ。都道府県費負担の正規職員であれば、校務分掌やその他の重責を担えるが、非常勤で授業をする時間のみ勤務する形態だと、校務分掌は割り当てることができない。定数改善の話は、文科省から出ていない(筆者は知らない)ことから、この3800人は後者の雇用形態になるのではないかと思われる。また、3800人を見積もっているが、産休や育休、傷休のかわりとなる常勤講師が集まらない現状を鑑みると、果たしてやってくれる人を集められるのか、心配になる。
教師の労働環境の抜本的解決策の一つは、定数を改善することである。これについては、財政負担が大のため、財務省が首を縦には振ってくれないと思われる。しかし、国の財政的なバックアップなしに教員の労働時間を減らすことは不可能であるし、未来を担う子供達の教育をよくすることはできないであろう。


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