修学旅行等の入浴指導時の「水滴チェック」について、記事が投稿された。これついて考察したい。
修学旅行の風呂上がり「水滴チェック」あり? 裸の生徒を教員が目視検査…中学校は「必要な指導」
—トピック—
- 水滴が付いてないかを裸のまま教員にチェックされて不快だったと西日本新聞へ投稿があった
- 情報を寄せた保護者によると、女性教員が裸で万歳させ、水滴の有無を目視で検査
- 学校側から、水滴の有無に加え決められた時間を守らせるといった「入浴指導」をしたと回答
- 同校の男性校長(57)は「入浴指導はしたが、万歳をさせた事実はなかった」と結論付けた
- 真下麻里子弁護士は「時代錯誤な指導だ。教員はプライベートゾーンがさらされることは許されないと指導すべき立場なのに」と疑問
中学2年の娘が修学旅行で、風呂上がりに水滴が付いてないかを裸のまま教員にチェックされ『気持ち悪かった』と話している」。福岡都市圏の市立中に通う女子生徒の保護者が西日本新聞「あなたの特命取材班」にこんな声を寄せた。調べると、九州を中心に全国の学校で行われているようだ。ネット上には同様の体験を「水滴チェック」と称して「不快だった」などと訴える書き込みが複数ある。
今回の記事で「水滴チェック」なる言葉が、世に存在することを知ることになり、長年この仕事を生業としている者として、まだまだ知らないことがたくさんあるんだと思った次第である。筆者も修学旅行を始め、泊を伴う行事には嫌と言うほど従事してきたので、入浴指導もたくさんしてきた。筆者は、児童生徒を万歳させて「水滴チェック」はしたことはないが、「湯船にタオルは入れない」「体を良く拭いてから、脱衣所に行く」「使った椅子やシャンプー類はきちんとかたづける」等の常識的な指導はしてきた。又、完全配慮義務もあるので、入浴中に指導者がいないという訳にもいかないだろう。しかし、こちらは脱衣をしていないので、逆の立場になったら、あまり良い気持ちもしないだろうと思っていたし、こんな指導はできればやりたくないと思っていた。
情報を寄せた保護者によると、修学旅行があったのは昨年12月。女性教員が裸で万歳させ、水滴の有無を目視で検査。「上がってよし」や「拭き直し」を指示したという。学校側に取材した。男女それぞれの浴場に同性の教員を2人ずつ配置し、水滴の有無に加え、決められた時間を守らせるといった「入浴指導」をしたと説明する。以前から続けているという。
先述したように、「入浴指導」は、安全配慮義務があってやらない選択肢はないと筆者は理解している。第1に安全の確保、第2に入浴マナーの指導が「入浴指導」の主たる目的だと思う。今回の論点は、入浴マナーの指導中に裸の状態で万歳をさせて、教師が検査をしたことに、人権上の配慮が足りなかったと言うことかと思う。真相は記事からは分からないが、もしそうであるならば、個人的にはそこまでやる必要もなかったようには思う。児童生徒は、きちんと指導してもこちらの意図通りには行動せず、どこまで彼らに求めるかは、指導者の許容範囲にゆだねられることが多い。筆者は、児童生徒が入浴が完了した時点で、自ら床を拭き椅子やシャンプー類がきちんと戻っているか確認してから、浴室を後にするようにはしている。
同校の今回の修学旅行を巡っては「子どもが裸で万歳をさせられた」との匿名の苦情が福岡県教育委員会にもあった。連絡を受けた市教委は学校側に事実確認を要求。同校の男性校長(57)は引率した教員から話を聞き「入浴指導はしたが、万歳をさせた事実はなかった」と結論付けた。生徒への聞き取りはしなかったという。
校長は「水滴だけでなく、タオルを湯船に入れないなどのマナー全般を指導している。本来なら家庭で教えることではあるが、知らないまま大人になれば恥をかく」と正当性を強調。自身も教員時代から長らくしてきたといい「見直す考えはない」と断言した。
校長の言葉にもあるが、本来家庭で教えることであって、教師がやる必要のない指導事項である。個人的には、修学旅行自体が、教師にとって負担が大きいと感じる。機会があれば、修学旅行を含めた泊を伴う行事について問題提起をしたいと思う。
本題とは関係ないが、世間に日和ってしまう本当に情けない管理職が多い中、『「見直す考えはない」と断言した。』と言えるこの学校長について、なかなか気骨のある人物だと好印象をもった次第である。
近年は、子どもの性暴力被害を防ぐため、胸やお尻など身体の「プライベートゾーン」(体操服で隠れる部分)を他人に見せたり、触らせたりしないよう教える教育が主流になっている。福岡県も児童向けに啓発冊子を作成し、ホームページで公開している。
子どもの権利に詳しい真下麻里子弁護士(42)=東京=は「時代錯誤な指導だ。教員はプライベートゾーンがさらされることは許されないと指導すべき立場なのに」と疑問視。「転倒を防ぐなら小まめに床を拭くなど別の手段もある。子どものプライバシーを侵害する理由にはならない」との見解を示した。
「プライベートゾーン」について、他人に見せたり触らせないように教えることは、当たり前のことで、教師が時間を割いて指導することではない。そこまで学校で指導しないといけないとしたら、情けない限りである。
この弁護士の言うとおりだと思うが、現場は理想通りにはいかない。教師は、子どものプライバシーを侵害するつもりはないのだが、ホテルに宿泊している一般客やホテル従業員に迷惑もかけられないし、本来家庭で行う当たり前の指導を学校でしなければならない等、様々なしがらみの中で日々奮闘していることも理解して欲しいと思う。


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