残業120時間から定時退勤の取り組み行った教師のが紹介された。これについて考察したい。
120時間の残業生活が激変、定時退勤を実現した公立教員の「時短術ベスト3」
—トピック—
- 時短に効果があった具体的なアクション「3位:ドリルの採点をやめる」
- 時短に効果があった具体的なアクション「2位:動線を最小限に抑える」
- 時短に効果があった具体的なアクション「1位:ICTを活用する」
- 時短の実現のために何よりも大事なのは「学級経営」
「今、毎日が本当に楽しい。おかげさまで心身ともに健康で、放課後は自分のやりたいことや学びたいことに時間をたっぷり注げています」そう語るのは、泉佐野市立第三小学校で3年生の担任を務める柴田大翔氏だ。現在33歳、今年で教員生活11年目を迎える。基本的に定時で退勤するという柴田氏だが、かつては月120時間ほど残業していたという。
今回は、自助努力によって、月の残業時間を120時間から10時間程度に減らすた教師の取り組みを紹介するとともに、同じ仕事に従事する同業者としての筆者なりの考察感想を述べたいと思う。
まず、最初に自助努力による業務改善で定時退勤を成し遂げる柴田氏に対し、賛辞を送りたい。そしてその取り組みは、過剰労働に悩む多くの教師への示唆を含んだ取り組みであると感じる。今後とも、精力的に様々な情報を発信し、よりよい労働環境実現のために尽力して欲しいと思う。
そこで、まずは「1人1当番」で児童たちに仕事を担当してもらうことにした。4月の段階でその方針を伝えると、児童たちは自然と前向きに取り組むようになったという。これにより、柴田氏は雑巾整理など教室の細かな雑務や宿題のチェックなどを手放すことができ、うまく時間を使えるようになった。
1人1当番と言うのは、俗に言う係活動ではないかと思う。別に係があるのかどうか記事からは、分からないが、仮にそうであったとしても子供に様々な役割を担わせることで、子供の自主性を養い、教師の時間を捻出することは、昭和の時代から広く行われていたことではあると思う。柴田氏の取り組みでは、役割分担が具体的で子供にも何をするのか分かり易いと筆者は感じた。
2番目に効果が大きい取り組みが、動線を最小限に抑えたこと。例えば、職員室と教室との往復には時間を取られるため、基本的に仕事は教室で完結できるよう、文具などの備品を教室にも用意して職員室と同じ環境になるよう整えた。「自費で購入したものもありますが、備品を取りに行くなどのムダな移動を省けたことによる時短の効果は大きいです」と、柴田氏は話す。
動線を最小限にと言う取り組みも、時短にはよい思う。ただ、筆者の勤務校でも放課後まで職員室に戻らない教師は多数いる。移動における無駄な時間の排除はできていると思うが、定時退勤には程遠い状況であり、この取り組み自体が大きな影響を与えるものではないと筆者は考える。ただ、筆者も心がけたいと思う。
そして、最も時短効果のあった取り組みは、「断然、ICT活用」と柴田氏は言い切る。前任校がICT活用の研究校だったこともあって元々ICTには慣れ親しんでいたが、「今やICTなくして自分の授業は成り立たないほど。ICTによる働き方改革の効果は本当に大きいと感じています」と語る。
~中略~
例えばCanvaは、デザインテンプレートのバリエーションが豊富で、かつ直感的に操作できるため、児童でもプレゼン資料や新聞、ポスター、動画などを表現豊かにつくれる。共同編集や児童同士でコメントし合うことも可能なので授業活用がしやすく、柴田氏は「Canvaを使わない日はほぼない。最強のツールです」と評価する。
~中略~
ICTの活用は、職場全体の効率化にもつながっているようだ。柴田氏の学校では、柴田氏やICT活用に長けた教員らの発案で、会議資料や授業で使う教材データなどをGoogleドライブで共有し、スマホや自宅のパソコンからも閲覧できるようにしたという。
ICT活用が時短に寄与する強力なツールであることは、筆者も同意である。紙ベースよりもタブレットを活用し、子供の学習の記録や作品を管理した方が、圧倒的に管理しやすい。職員室の机上でも評価ができる。教材も使い回しができ、劣化もせず保管スペースもいらない。いいことずくめである。クラウドを活用し、自宅でも学校同様に仕事ができるのも素晴らしいが、セキュリティポリシー的にはどうなのだろうかと個人的には気になった。これに関しては、各自治体での判断にゆだねられるので、柴田氏個人の問題ではないと思う。
一方、学校ではトラブルがつきもので、教員はそこにも時間を取られやすい。そんなとき、柴田氏はどう対応しているのか。
「もしトラブルがあったときは、子どもたちが学校にいる間に解決することを心がけています。保護者への連絡も、連絡帳経由では誤解を生むことがあるので、児童が帰宅する前に電話でお話をします。状況によっては児童と一緒に家まで付き添い、直接説明することも。後からの説明だと言い訳と捉えられてしまう場合があるからです。実際、早めに動くことで、残業してまでの対応がなくなりました」
~中略~
そしてもう一つ、保護者との関係づくりも学級の安定に欠かせない。柴田氏は新年度が始まると、保護者全員に電話をし、挨拶とともに児童の日常のポジティブな様子を報告するようにしている。電話連絡が難しい家庭には、一筆箋を児童に託す。「最初の参観日までには、全員とコンタクトを取るようにしています。日頃からつながっていれば、保護者の方は安心ですし、何かあったときも教師の味方になってくれます」と柴田氏は言う。
学級経営の大切さを述べておられる。早期連絡・早期解決は、学級経営のイロハのイであると思う。筆者は、架電が好きではないので、連絡帳で何かあったら連絡をするようにしている。また、高学年担任でもあるので、小さなトラブルに関しては、敢えて連絡をすることはない。それは、担任からの連絡があると言うことは、それなりのことであると保護者にも自覚してもらいたいという意図があるからである。日常全ての子供のトラブルを逐次連絡していたら、教師の側だけでなく保護者にとっても負担になるとも感じる。この辺のさじ加減に正解はないので、筆者は筆者なりに考えて行動するようにしている。
一つ気になったのは、「後からの説明だと言い訳と捉えられてしまう場合があるからです。」の部分である。子供のトラブルは、担任だけの責任ではないし、多くはその子供同士の人間関係で発生している。教師の本音としては、我々の指導ではどうにもならない時もあるし、子供の行為の第一義的責任は、保護者にある。学校で起こしたトラブルは、学校に責任がないとは言わない。しかし、それは同時に、保護者の責任でもある。それを踏まえれば、上記箇所が、卑屈になりすぎていると感じてしまうのは、筆者の精神がねじくれ曲がっているからであろうか。
記事を読んでいて、柴田氏の取り組みは素晴らしいと思う。しかし、校務分掌は担当していないのだろうかと疑問に思った。子供と関わっている時間は、仕事の半分でもう半分の校務分掌やその他、膨大多岐に渡る仕事についての記載がないように感じた。実際に学校現場で仕事をしていると、運動会の季節には、ライン引きに始まり、テントの設営、子供が帰ってからは、テントの脚を畳む作業。各係の担当になれば、係の子供への指導を考えたりしなければならない。その間に、学年便りや担当分掌での保護者に配布するプリントの作成、たいして意味のない校内研修に外部から講師を招いての○○教室の担当者との打ち合わせ、学年会計業務、宿泊学習のしおり作り、果ては校庭に蛇が出たと言えば、蛇退治に出かけ、子供が近所の公園で騒いでいると連絡があれば、指導に出かけ、そういった諸々(上記記載はほんの一部)の仕事はないのだろうかと思った。そのあたりの時短テクニックを記載してもらうと多くの教師にとって、更に参考になったと思う。
最後に、自助努力によって定時退勤を目指し、実現した柴田氏の取り組みは素晴らしい。しかし、末端の教師1人1人の自助努力ではなく、まずは、国や文科省、都道府県や都道府県教育委員会が、労働環境改善に動かなければならない。無賃労働120時間という杜撰な労務管理(教職員が好きでやってる体であるが・・・)をして、「資格がなくても教師になれる」「採用試験を1年前倒し」「ペーパーティチャーを活用」などと、問題の本質的解決から逃げる、お茶を濁す政策ばかりやっていたのでは、いつまで経っても教職の人気は高まらないことだけは、確かなことだと言える。


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